愛を餌に罪は育つ
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次の日に翔太君は無事に目を覚まし、直ぐに退院した。


病院を後にしたその足で山田さんと笠原さんの元を訪ねたそうだ。


気を失ったのは朝陽に突き飛ばされた拍子にバランスを崩してしまい、倒れた時に何かで頭を打ったからだそうだ。


その他の証言は私と同じ。


私たちの件と梓の件で朝陽のマンションが家宅捜査される事になった。


念のためと思いまだ朝陽のマンションの合鍵を持っていたから、令状を取らなくても入れる事を伝えた。


だけど何か見付けた時にちゃんとした証拠として保管したいからと令状を取る事になった。



『連絡があるまでゆっくりしていよう』

「うん、そうだね」



今頃笠原さんたちは朝陽のマンションを家宅捜査しているだろう。


朝陽はマンションにいたのかな――。


部屋の雰囲気を変える様に秋はテレビを点け、普段なら絶対に見ないバラエティー番組にチャンネルを合わせた。


私はバラエティー番組よりも、それをいつもの澄まし顔で見ている秋が可笑しくてつい笑ってしまった。






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