愛を餌に罪は育つ
リビングのソファーに深く腰掛け一緒にテレビを見る。


普段なら秋が忙しくてここまでのんびりはしていられない。


不謹慎ながらも今の状況に少しだけ感謝してしまった。



「捕まったらどうなるのかな」

『彼が何をしてきたのかによるが、美咲のご家族を殺害し火まで放っているとすれば死刑、良くて終身じゃないか』



殺害――そんな言葉でくくってはいけない程酷い有り様だった。


あれは惨殺。


もう、私が殺したんじゃないって思ってもいいのかな。


たまにどす黒い感情に覆われそうになる事は誰にも話せなかった。


携帯が鳴り画面には笠原さんの名前が表示されていた。


緊張しながらも私は通話ボタンを押し電話に出た。



「はい、大野です」

「笠原です。今宜しいですか?」

「はい」

「お話したいことがありますので署まで来て頂けますか?」



笠原さんの声は凄く落ち着いていて、それが余計に私の心臓を煩くさせた。



「直ぐに伺います」



電話を切ると直ぐに私は秋と一緒に笠原さんの元へ向かった。






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