愛を餌に罪は育つ
見慣れた景色が今は闇にのみ込まれ、知らない景色に見えた。


仕事とプライベートはきっちりわける人だと思ってた。


それなのにこうして求めてくれた事が嬉しかった。


大好きだよ、秋。


私たちは息を乱し、お互いを求めあう。


普段は理性を保たなければいけない場所だからこそ、激しく執拗に求めてしまう。


力尽きるようにソファーに項垂れた私の唇に秋は微笑んでキスをした。



『まずいな、帰ったらまた食べてしまいそうだ』

「いくらでもどうぞ」



秋の頬に手を添え、愛しい唇にキスをした。


触れるだけのキス。


また体が疼いてしまいそうだから、今はこれで我慢。



「先に帰るね。今一緒に歩いたら関係がバレちゃいそうだから」

『そうだな。少し寂しい気もするがしょうがない。先に帰っていい子で待っていてくれ』



さっきまでは大人の女として接してくれていたのに、今はまるで子供と接しているかのような口振り。


幼くたって何だっていい。


貴方に愛してもらえるなら私は何にだってなる。






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