愛を餌に罪は育つ
テーブルの上にはピザやサラダ、スープが並んでいる。


朝陽はそれらを嬉しそうな顔をして小皿に取り分けている。



「ありがとう。ごめんね、私がしなきゃいけないのに――」

『僕がしてあげたいんだよ。美咲が美味しそうに食べてるところを早く見たいからね』



朝陽はジントニックの入ったグラスを持ち、美咲は烏龍茶の入ったグラスを持って二人は乾杯した。


特に言葉はなく、ただ笑顔でグラスを合わせた二人が何を思っているのかは分からない。



『ねぇ、美咲』

「うん?」

『仕事は楽しい?』

「楽しくはないよ。仕事だもん」



美咲は平然とそう答え、サラダを口に運んだ。



『副社長の事どう思ってるの?』

「どうって?」

『副社長と僕、どっちが好き?』



ストレートな物言いに、美咲は少し驚いた顔を見せた。


朝陽はいったい彼女にどんな言葉を求めているんだろうか。


どんな答えを望んでいるんだろうか。






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