愛を餌に罪は育つ
素直に目を瞑ったまま、ドキドキした気持ちで次の秋の言葉を待った。


でも近くに気配は感じるのに喋らなくなってしまった秋。


何がしたいんだろ?


目を開けたい。



「んッッ――」



突然唇を塞がれ、とろけてしまいそうな程甘いキスをされた。


目を開けようとしたらほんの少し冷たい手で目元を覆われてしまった。


な、何なの!?


秋は何も言わないまま私の唇を味わう様に離そうとしてくれない。



「あッッ――、きッッ」



何も考えられないくらい激しく求められ、絡められた左手に力が入る。


ようやく唇が解放され、胸を大きく上下させていると、瞼越しに光を感じると同時に秋の声が降ってきた。



『目を開けて』



目を開け直ぐ様体をお越し、秋に飛び掛かる様に詰め寄った。


絶対今の私の顔は真っ赤だ。



「もうッッ!!急に何なの!?」



眉間に皺を寄せ怒ったように言っているのに、秋は優しい目をして私を見ていた。


もう一度文句を言ってやろうと思ったが、口を開いただけで言えなくなってしまった。


秋が優しい目をしている理由に気が付いてしまったから。






< 351 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop