愛を餌に罪は育つ

眠りの先

さっきからニヤニヤした視線に耐えながらナポリタンを食べている。


食べづらい。



「もぅ――早く食べないと昼休み終わっちゃうよ」

「だって嫌でも目に入るんだもん。見とれちゃうくらい素敵な指輪だよねぇ」



私がつけてていいのかなと思ってしまう程、ダイヤがキラキラ輝いている。



『えっ!?結婚すんの!?』



突然頭上から声が降ってきて肩がビクッと反応してしまった。


興味津々に指輪を見ながら加藤さんが梓の隣に腰を下ろした。



「まだ結婚するって決まった訳じゃないんです」

『そうなの?』

「決まったも同然でしょ!!婚約指輪なんだし、彼美咲に夢中だもん」



梓の言葉に思わず顔がカッと熱くなった。


夢中――なの、かな?


そう思ってもいいのかな。



『飲み会の時に迎えに来てた彼と結婚すんの?』



心臓がドキッと飛び跳ねた。


一度頭に浮かんだ朝陽の顔は中々消えてくれなかった。


自然と気分も沈んでいく。






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