愛を餌に罪は育つ
今日もいつも通り仕事を終え、一人先に帰宅した。


秋は取引先の社長と食事をして帰ってくるらしく、私はコンビニで買ったお弁当を広げた。


たまに食べたくなるんだよね。


それに一人の時は正直作るのが面倒くさい。


静まり返っている中で食べるのは寂しくて、特に見たい番組はなかったがテレビを点けた。


チャンネルを変えていると、以前観たかったが観に行けなかった映画が放送されていた。


私はチャンネルを変える手を止めて、子供の様に画面に釘付けになった。



“毎回怖くて眠れなくなるのにどうしてホラーなんか見るんだよ”



どうして?


私にも分からない。


でも、貴方が隣に居てくれたから怖がりながらも見てたんだと思う。



“お風呂一緒に入ろう”



ホラーを見終わった後は、怖くて一人で行動できなくなった私の手を引いてお風呂に入ってくれた。


寝る時も抱きしめてくれた。


でも私たちは裏切り合った。


ただ貴方は私の裏切りを知らない。


それとも貴方が知らないなら裏切りとは言わないんだろうか?


目に見えない想いは、どのくらい膨れ上がったら裏切りになるんだろう。






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