愛を餌に罪は育つ
ハンバーグの隣に添えられていた人参だけ残し、また透明の蓋を閉じコンビニのビニールへ入れた。



“子供じゃないんだから食べなよ”



だって嫌いなものは嫌いなんだもん。


記憶の中の彼とこうして喋るのが楽しくてしょうがない。


馬鹿みたい。


そう思いながらも止められない。


私はテレビの画面から目を離さないままソファーに横になった。


怖くて心臓がビクビクしてる。


寒いわけじゃないのに、丸まるように膝を曲げ腕を交差させ肩を抱いた。


この怖さから自分自身を守る様に。



“脅えてるミーは可愛いよね”



いつもは可愛くないみたいな言い方しないでよ。



“美咲ごめん。傷付けて本当に――ごめん”



貴方の泣き顔、初めて見た。


どうしてそんなに馬鹿正直なの?


私何かに謝る必要なんてないんだよ。


だって、貴方の言葉に私はホッとしてしまったから。


私は貴方の人生を最悪なものにしてしまった。


貴方への償いを考えた。


どれだけ考えても一つしか思い浮かばなかった。


そう――一つ、だ――け――――。






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