愛を餌に罪は育つ
ドアが開くと増田さんが「失礼致します」と言って足を踏み入れた為、私も急いでその後に続いた。
「失礼致します」
そう言って急いで頭を下げると、『今日だったな』という低く落ち着いた声が聞こえてきた。
ゆっくり頭を上げると、立派な黒皮の椅子に座っている男性と目が合った。
二重だが切れ長で鋭い目。
こんなに綺麗な容姿で副社長という地位にいれば、女性から人気があるのは無理もない事だと思った。
「お仕事中失礼致します。少しお時間宜しいですか?」
『あぁ、事前に決まっていたことだからな』
「副社長の秘書を務めることになりました大野美咲さんです。今日から三日間は二階の研修室にて研修を行います。それ以降は実際に秘書業務について頂きます。勿論仕事を覚えるまでは私が指導係を務めます」
「大野美咲と申します。少しでも早く仕事を覚えるよう頑張りますので、宜しくお願い致します」
私は再び頭を下げた。
緊張は今が一番ピークかもしれない。
『あぁ、期待しているよ』
「は、はいッッ」
副社長は何気なくそう言っただけなんだろうけど、今の私にはその言葉は酷く重くのしかかった。
私ってばどうして秘書なんて受けたんだろう――営業事務のままでいた方が気が楽だっただろうに――。
ここに来てしまったことを私は少しだけ後悔してしまった――――。
「失礼致します」
そう言って急いで頭を下げると、『今日だったな』という低く落ち着いた声が聞こえてきた。
ゆっくり頭を上げると、立派な黒皮の椅子に座っている男性と目が合った。
二重だが切れ長で鋭い目。
こんなに綺麗な容姿で副社長という地位にいれば、女性から人気があるのは無理もない事だと思った。
「お仕事中失礼致します。少しお時間宜しいですか?」
『あぁ、事前に決まっていたことだからな』
「副社長の秘書を務めることになりました大野美咲さんです。今日から三日間は二階の研修室にて研修を行います。それ以降は実際に秘書業務について頂きます。勿論仕事を覚えるまでは私が指導係を務めます」
「大野美咲と申します。少しでも早く仕事を覚えるよう頑張りますので、宜しくお願い致します」
私は再び頭を下げた。
緊張は今が一番ピークかもしれない。
『あぁ、期待しているよ』
「は、はいッッ」
副社長は何気なくそう言っただけなんだろうけど、今の私にはその言葉は酷く重くのしかかった。
私ってばどうして秘書なんて受けたんだろう――営業事務のままでいた方が気が楽だっただろうに――。
ここに来てしまったことを私は少しだけ後悔してしまった――――。