愛を餌に罪は育つ
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副社長との挨拶後一日研修を受け、家に帰りついた私は力なくソファーに横になった。


とにかく疲れた。


研修よりもいろんなところに気を遣った事が一番の疲れの原因かもしれない。


ずっと座っていた為体は元気なはずなんだけど、重たく感じた。


副社長とは本当に挨拶だけで、それ以上言葉を交わすことはなかった。


綺麗な顔立ちをしているからか表情を変えずに喋っているだけで怒ってるの?と勘違いしてしまいそうだった。


副社長は仕事は出来るし顔もスタイルもいい。


その上名前まで素敵だった――南雲 秋(ナグモ アキ)。


挨拶が終わった後増田さんから副社長について少し話を聞いた。


年齢は32歳と若く、その若さで副社長の地位まで上り詰めた事に驚いた。


見た目は若かったけれど、歳の割りに若く見える人なんだろうと思っていた。


副社長は会長の息子らしく、副社長に就任したときは七光りだと白い目で見られたいたらしい。


だけど、そう時間が掛からないうちに副社長は役員、そして社員に自分の実力を認めさせたそうだ。


目を閉じると瞼の裏に副社長の顔が見える。


あの端整な顔立ち、一度見ればみんなきっと忘れないだろう――。






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