愛を餌に罪は育つ
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升目のある白く何の面白みもない板。


そしてこの独特な薬品の臭い。


見覚えのある場所。


左側にある大きな窓。


カーテンが閉まっている為朝なのか昼なのか、それとも夜なのか分からなかった。


右手に感じる温もり。


座ったまま寝てる。


なんて綺麗で可愛い寝顔なんだろう。



「――あ、き」



少し口を開いただけなのに、左頬に鈍い痛みが走った。


秋はゆっくりと目を開き、私と目が合うと目を見開き何も言わずに私の体を抱きしめた。


がっちりとした肩が、腕が――全てが震えていた。


そんな秋の背中に腕を回し、私は抱きしめ返した。


大好きな温もり。



『メールを見た瞬間心臓が止まるかと思った』

「心配かけてごめん――見付けてくれてありがとう」

『無事で良かったッッ』



震える声は弱々しくも、真っ直ぐと私の心に響いてきた。


私は体をそっと離し秋の唇に自分の唇を重ねた。


そして安心させたくて、笑ってもう一度一瞬だけ触れるキスをした。






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