愛を餌に罪は育つ
暫くすると白衣を纏った男性が部屋に入ってきた。
その男性を見て、やっぱりここは病院なんだと改めて実感した。
今のところ特に体に異常は見当たらないとの事。
それはそうだろう。
睡眠薬を飲んで、少し一酸化炭素を吸い込んだだけだから。
『念のため二、三日は入院して頂きます。では何かありましたら枕元のボタンを押して下さい』
『はい、ありがとうございます』
私の代わりに先生に返事をしてくれる秋。
喋りたくないわけではないが、動かすと頬が痛む為できれば口を開きたくなかった。
違和感を感じる左頬は、鏡を見なくても腫れているだろうと思った。
遠慮がちに私の左頬に触れる秋の手があまりにも優しくて、泣いてしまいそうだった。
病室のドアをノックされ秋が返事をすると、静かにドアが開いた。
そこには安心したような顔をした翔太君と、目を張らした梓が立っていた。
その男性を見て、やっぱりここは病院なんだと改めて実感した。
今のところ特に体に異常は見当たらないとの事。
それはそうだろう。
睡眠薬を飲んで、少し一酸化炭素を吸い込んだだけだから。
『念のため二、三日は入院して頂きます。では何かありましたら枕元のボタンを押して下さい』
『はい、ありがとうございます』
私の代わりに先生に返事をしてくれる秋。
喋りたくないわけではないが、動かすと頬が痛む為できれば口を開きたくなかった。
違和感を感じる左頬は、鏡を見なくても腫れているだろうと思った。
遠慮がちに私の左頬に触れる秋の手があまりにも優しくて、泣いてしまいそうだった。
病室のドアをノックされ秋が返事をすると、静かにドアが開いた。
そこには安心したような顔をした翔太君と、目を張らした梓が立っていた。