愛を餌に罪は育つ
ん――こ、え――――?


――だれ?



『――さ――――きて』



誰かに体を揺さぶられている気がする。


激しく強くというよりも、優しく遠慮がちに揺さぶられている。



『美咲、起きて。こんなところで寝たら風邪ひくよ』

「ん――」



瞼を開くと眩しいくらいの光が目に差し込んできた。


目の前には心配そうな笑みを見せている朝陽。



「私、寝ちゃったんだ。今何時?」

『九時半だよ』

「嘘――どうりでお腹が空いてるはずだよ」

『夜ご飯食べてないの!?』

「うん。帰ってきてすぐにソファーに横になってたら寝ちゃったんだ」



キッチンに向かい冷蔵庫を開け中を物色するがお腹に溜まるような食材は何もない。


近くのコンビニに何か買いに行こう。



「朝陽はご飯食べたの?」

『僕もまだだよ』

「今からコンビニに行こうと思うんだけど、何かいる?ついでに買ってくるよ」

『一緒に行こう』

「うん、そうだね」






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