愛を餌に罪は育つ
風が窓を揺らし、カタカタと音を鳴らす。


その小さな音が酷く耳障りに感じた。



「朝陽はどんな時もちゃんと避妊をする人だった。それが出来ない時は絶対に私を抱かなかった」

『他の女の時がどうだったかなんて分かんないじゃん』

「分かるよ。自分と同じような思いをする子は一人でも少ない方がいいってよく言ってたから」



朝陽はホステスだった母親とお客さんとの間に出来た子供。


子供が出来たと分かって籍をいれるつもりだったが、客である男性は別の女と結婚してしまったとの事。


望まれて産まれた訳じゃない朝陽は一度も母親の愛情を受けずに育った。


親の都合なんて子供には関係ないのに――と言っている朝陽の目はいつも氷の様に冷たかった。



『そうだとしてもどうして俺の子供になるの?』



冷静さを取り戻したのか、翔太君はいつも通りの柔らかい雰囲気になっていた。





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