愛を餌に罪は育つ
よく見ると指輪の内側に“Asahi*Misaki”と私と朝陽の名前が刻印されている。


これ――絶対私のだよね。


念のため帰ったら朝陽に聞いてみよう。



「お腹空いたし早く行こう」

「そうだね。美咲は何食べたい?」

「ん~パスタとかピザって気分だけど、基本何でも好き」

「美咲は食いしん坊だもんねぇ」



反論したいけど食べるのは好きだし、いろんなものに目移りしちゃうしで言い返せなかった。


そんな私を見て益々可笑しそうに笑う梓。


いつも穏やかでニコニコ笑っている梓が、さっきは怖いほど真剣な顔をして指輪を見ていたから正直驚いた。


指輪の内側に書かれた文字を目を凝らして読んでいただけかもしれない。



「お勧めのBarがあるんだけどそこに行かない?」

「うん、いいよ」

「デザートも美味しいし、カクテルの種類も多いから女性に人気のお店なんだ。ご飯も美味しいから男性客も普通にいるけどね」

「そうなんだ、楽しみ」



五分もしないうちにお店にたどり着き、まだ早い時間だったという事もあり、待つこともなくすんなりとお店に入ることができた。


店内は間接照明で適度な明るさな為、女性には嬉しい明るさだなと思った。


好きな人と来ているときなどは、あまり化粧崩れを気にしなくてもよさそうだ。


特に仕事帰りだと朝から化粧をしている為、できれば夜の顔をはっきりと見られたくはない。


今日は梓と一緒だから気にすることもないだろうけど、朝陽と一緒だったら私は気にするのかな。


そんな事を考えつつ案内された席へと腰を下ろし、店員の女性からおしぼりを受け取った。






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