愛を餌に罪は育つ
私の知り合い?


それとも友達?


何て言葉を返していいか分からず困惑していると、彼も困った様な顔をして口を開いた。



『どうしたの?飲み過ぎて気分でも悪いの?』

「あ、あの――違うんです。私たちってその――友達、ですか?」



困った様な顔がキョトンとした様な顔に変わり、彼は声を出して笑いだした。


私は真面目に聞いたつもりだけど、こんな事普通は聞かないよね。


そう思うと段々恥ずかしくなってきた。



『美咲ちゃん今日は一段と不思議だね!!俺たち友達じゃん。もしかして俺だけ美咲ちゃんと仲良くなったと思ってたとか!?だとしたらかなりショック――』

「いえっ、それは多分ないと思います!!変な事聞いてごめんなさい。えっと、お名前――は?」

『――これいつまで続けるの?』



いつまで続けるもなにも分からないから聞いてるんだけど――彼はきっと私が冗談で聞いてると思ってるんだろうな。


しょうがないけど簡単に事情を話すしかないよね。



「私記憶喪失らしくて本当に貴方の事が分からないんです」

『記憶喪失?』

「自分の事もまだよく分かってなくて――だから冗談とかじゃなくて、すみませんが本当にお名前を教えて頂きたいんです」






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