愛を餌に罪は育つ
梓を交えてテーブルを三人で囲んで座っているこの雰囲気は不思議な感じがした。



「宮沢さ――」

『翔太でいいよ。いつもそう呼んでくれてたから。それと敬語も使ってなかったからタメ口ね』

「それじゃあお言葉に甘えて翔太君って呼ぶ、ね?」



肘をつき手のひらに顎を乗せ私たちの様子を見ている梓は訳がわからないという顔をしている。


梓にも翔太君に話したことを話すと、凄く驚いていた。


記憶喪失中の人と友達になる事って中々ない事だよね、普通は。



「なんて言えばいいのか分かんないけど、とりあえず今日宮沢さんと偶然会えて良かったね」

「うん。携帯もなくしちゃって今までの友達は誰一人分かんないんだ」

「そうなの!?」

「でもまた翔太君と友達になれて良かった」



二人とも優しく微笑んでくれて私もつられる様に笑った。


翔太君は凄く優しくて大人でこんなに素敵な人と友達だったんだなと思うと余計嬉しくなった。


声をかけてくれた時に少しでも軽そうなんて思ってしまった事を私は心の中でそっと謝った。





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