愛を餌に罪は育つ
今後の事を考えていると自然とため息が漏れ、その声は案外大きかったのか静かな部屋に響き渡った。


椅子から立ち上がり、掛けているコートを取ろうとした時、けたたましい程のサイレンの音が鳴り響いた。


火事!?


そう思い急いで外に出ようと足を踏み出した時、突然頭の中でイメージが浮かび動けなくなった。


壁一面――部屋中真っ赤だ――。



「何、これ――」



体は震えだし足に力が入らず崩れる様にその場に座り込んだ。


その時、目の前に血だらけになっている人が現れ私は息を飲んだ。


腰が抜けて立ち上がる事も出来ず、腕の力で必死に後ずさると後二人同じように誰かが倒れているのが見えた。


上手く呼吸が出来ず、体も熱を帯びていっているかのように熱い。



「だ、れか――ッッ」



助け――て――――。


苦しくて上手く言葉が出ない。


涙で視界がぼやけていく。


意識が朦朧としていく中、体の力が抜け体を床に預けるように倒れ込んだ。


そこで私の意識は途切れてしまった――――。






< 68 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop