愛を餌に罪は育つ
ドアが三回ノックされ、返事をすると白衣を着た男性とナース服を着た女性が部屋に入ってきた。


ベッドに横になっている私の斜め前で足を止め、先生は立ったまま話しを始めた。



『大野さん、ご気分はいかがですか?』

「気分は悪くないですけど、少し体がだるいです」

『検査の結果体には特に異常は見付かりませんでしたので、そのだるさも時期によくなると思います』



特に異常がない?


じゃあどうして私は病院にいるの?


体を見る限り包帯やギブス、テーピングなどはされていない為怪我をしていないことは明白だった。



「病気ではないんですか?」

『えぇ、至って健康ですよ』

「だったら私は病院に何しに来たんですか?この腕に刺さっている針は?病気の治療とは違うんですか?」

『覚えていないんですか?』



「はい」と答えると先生は椅子に腰掛け、その斜め後ろに看護師の女性が控えめに立った。


先生が口を開きかけた時、朝陽さんが口を開き話を始めた。






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