愛を餌に罪は育つ
『今日何かあるのか』

「今日は部署も役職も関係なく、いろんな人が集まる飲み会があるんです」

『そういえば定期的にそんな飲み会をしていると言っていたな』

「えぇ、副社長もお時間があるんでしたら如何ですか?前回は関根顧問も参加して下さったんですよ」

『折角だが今日の夜は予定が入っている。またの機会にするよ』

「是非、副社長が来て下さったらみんな喜びます」



顧問なんて偉い人がいたら飲み会なのに緊張しちゃいそう。



「今回は送別会も兼ねているらしいから結構な人数が集まってるそうよ」

「そうなんですか?でも人数が多い方が楽しそうですね」

「そうね。それに、大野さん目当てでくる男性社員もいるみたいだし」

「えっ!?」



増田さんの言葉に驚いてしまった。


今の私は凄く間抜け面だと思う。


その証拠に私の顔を見て増田さんは可笑しそうに笑っている。



「特に営業の加藤君は大野さんに夢中だものね」

「誤解です。加藤さんは仲良くしている総務の森川さんと仲が良いので、私にも良くして下さっているだけですよ」

「大野さんと食堂でご飯を食べている時の加藤君の顔は凄く幸せそうだけど――そういう事にしておきましょうか」



意味有り気な笑顔でクスクス笑う増田さんに対して、私は苦笑いになってしまう。







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