愛を餌に罪は育つ
さっきまで隣の部屋で仕事をしていた私に用事なら、さっき言われていたはずだしきっと別の人に用があるのよね。


今はとにかく自分の事でいっぱいいっぱいで、早く火照った頬の熱を冷ましたかった。


コップに入った水を必要以上に飲んでいると、頭上から聞きなれた声がして顔を上げると、そこには副社長が立っていた。


梓と加藤さんは緊張しているのか顔を強張らせている。



『食事中にすまないが、今少しいいか』

「は、はい!!」



私はコップを置き慌てて立ち上がった。



『直ぐ済むからそのままでいい』

「はい」

『来週の月曜日に朝一で使う資料だが、先程一部用意してもらったんだがもう一部用意してもらえるか』

「はい、かしこまりました。もう一部机の上に置いておきます」



こんなところまで足を運ばせてしまうほどの失敗か何かをしてしまったんじゃいかと思っていたから、少し拍子抜けしてしまった。


用事は済んだはずなのに副社長は動こうとはせず、ジッと私の顔を見ていた。


お昼ご飯がついてるのかもと思い、急いで口元を隠した。






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