愛を餌に罪は育つ
梓がみんなの事を紹介してくれて、どうやらみんな営業部でアシスタントをしているらしい。


梓の前に座っている佐々木 愛子さんという女性とは特に仲が良いみたいだ。



「秘書課の大野です。宜しくお願いします」

「こちらこそ宜しくね」



はきはきした活発そうな人。



「大野さんは初参加でしょ?」

「はい、梓が誘ってくれたんです」

「そうなんだ。今日は梓の傍から離れない方がいいと思うわよ」



佐々木さんの言葉に私も梓も首を傾げてしまった。


どういう事だろう。



「男どもはほっとけばいいんだけど、今回の飲み会で女性陣も大野さんと話したがってるから気を付けた方がいいわよ」

「何それ、どういうこと?」

「副社長の秘書してるでしょ?みんな副社長の話が聞きたくてしょうがないのよ。ほら、前任者はどうしようもない女でそんな話できなかったから」



前任者の女性は本当にみんなとは上手くいってなかったんだなと改めて思った。


苦笑いで返すことしかできない私とは違って、梓は納得したような顔をしている。






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