愛を餌に罪は育つ
そんな話をしていると、幹事らしき男性が立ち上がり声をはって挨拶をし始めた。


周りを見渡すと知らない内に人が集まっていて驚いた。


こんなに集まるなんて凄いな。


みんな仲がいいんだろうなぁ。



「乾杯しようっ」

「あっ、うん」



ボーッとしている間に挨拶は終わっていたらしく、周りは騒がしくなっていた。


私たちは生ビールの入ったジョッキを手に持ち、勢いよく乾杯した。



「さっきの話の続きなんだけどさぁ、やっぱ今でも副社長狙ってる人って結構いるの?」

「どうかな?でも性悪女がいなくなったから近付きやすくなったとは思ってるんじゃない」



性悪女――酷い言われよう。


話を聞けば聞くほど私の中の前任者のイメージは悪くなっていく。



「家の都合で退職なんて、彼女は泣く泣く辞めたって感じだろうね」

「ただの噂なんだけど、家の都合じゃなくてクビにされたって話だよ」

「えっそうなの!?何で!?」

「仕事でミスしたんじゃないかとか、副社長に近付き過ぎて失礼な事したんじゃないかとか、理由は色々流れてるけど本当の事は分かんないのよ。まぁそもそもクビになったかも定かじゃないけど」






< 94 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop