愛を餌に罪は育つ
もし仕事でクビになったんだとしたら私も人事ではない。


今まで小さなミスはたくさんしてきた。


大きなミスもいつしてしまうか分からないし、塵も積もれば山となるって言うくらいだからこれ以上私もミスを積み重ねれば――。



「まぁたそんな顔してる」

「だって私もミスしてるし笑えないよ」

「でも今日のお昼の副社長とのやり取りを見た限りじゃ、副社長は美咲のことちゃんと信頼してくれてる感じだったよ？」

「本当？」

「本当っ」



私は改めて梓と乾杯し、ビールを喉に流し込んだ。


冷えてるビールは美味しくて、疲れが取れていくようだった。



「大野さん」



そう声をかけてきた女性の後ろには数人の女性もいて、私は一気に取り囲まれてしまった。


梓も突然の事に驚いていて、佐々木さんは呆れたような顔をしている。



「はい？」

「副社長の事なんだけど――」



こんなに早く女性陣が副社長の事を聞きたいがために、押し寄せてくるとは思っていなかった。


酔っ払う前に話を聞きたかったのかな。






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