愛を餌に罪は育つ
朝陽は私の近くに立つと私のおでこに手を当て、ニッコリと微笑んだ。



『顔が真っ赤だ』

「なんで、いるの?」

『僕も丁度近くで職場の人と飲んでたんだ。美咲もそろそろ終わるかなと思って』

「そうなんだ」



元々心配性だったけど、倒れた日から余計朝陽の心配性は酷くなった。


今日も私を心配して来てくれたんだろう。


会社の飲みがある事は伝えていた。


だけど――終わる時間も、お店の名前も朝陽には話していない。


話していないつもりで話していたんだろうか――でも、やっぱりいつ話したかは思い出せなかった。



「美咲の知り合い?」

「あっ、朝陽だよ」



梓も少し驚いているようだった。


梓には朝陽の話をしていたから心配性なところがあるのは知っているけど、まさか迎えに来るなんて――とでも言いたげな顔をしている。



「えっと紹介するね、梓と佐々木さんと加藤さん」

『初めまして、野坂です。いつも美咲がお世話になってます』



最近の朝陽は何を考えてるか分からない。


私の事を大切に思ってくれている事は痛いほど伝わってくるけど、それだけじゃないような気がする。







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