10年越しの恋
次の日もその次の日も、雅紀は毎日メールをかかさなかった。

”おはよう! いい天気だね”

”今日も1日学校とバイトがんばってね”

”おやすみ、また明日”

私も同じように挨拶程度のメールしか返してなかった。

卓球大会から2週間ぐらいは毎日こんな感じだった。



3週間目の金曜日

♪プルル♪

メールの着信音が鳴る。

開いてみると雅紀からだった。



”明日どこかへ遊びにいきませんか? 晴れるみたいだしA公園とかね。俺の地元なんだけど散歩したら気持ちいいから。行こう!もう決まり。明日11時に駅前で”


ストレートな文面にドキドキする自分を自覚する。

遠距離の浩一。これまでも順調で幸せな付き合いとは言えない関係だった。

それとは正反対に初対面からなぜかしっくりと気の合う雅紀。

気がつくとメールを待っている自分。

否定すればするほどその存在を感じる。

携帯を手にメールを書いた。



”案内してください。 楽しみにしています”


何度も文面を読み直し、ひと思いに送信ボタンを押した。


一目ぼれ、それとも運命。

この日の決断は運命の扉を開いた……。

そんな気がする。
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