10年越しの恋
病室へと駆け込むと物々しい機材に囲まれた姿があった。

「セナさん…。昨日の夜まであんなに楽しそうに遊んでもらってたのに」

「未来ちゃん?」そっとベットへと近づいた。

もう浅い呼吸を機械によって人工的に支えられている状態…。

「あのこれ…」

たくさんのシールで飾られたカラフルな手紙。

「日本へ帰る前に渡すんだって」

昨日「バイバイ!」そう言って別れた時には想像もできなかった。元気な未来ちゃんを思い起こすかわいい手紙。

「今、読んでもらえますか?」

人の聴覚は最後の最後まで生きているという。
読んで返事を伝えようと思った。

”Dear セナさん

もうすぐセナさんは日本へ帰ってしまうんですね。
未来はセナさんに会えてうれしかったです。

お姉さんのセナさんのお姉さんにみたいにできたことも楽しかったです。

同じ日本人のお友達が出来てうれしかったです。

一緒に食べたママのおにぎりおいしかったですか?
病気のせいでおいしくなかったご飯を楽しく食べることができました。

1度も行ったことのない日本の写真やテレビを送ってくれるの楽しみにしてます。

元気になったらディズニーランド連れて行ってください。

あと、話してくれた夢叶えてね。応援してるよ。 だいすきなセナさんへ”

途中から涙で文字がぼやける。

「未来ちゃん、ありがとう…。 約束だね。頑張って夢叶えるからね。見守ってね」
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