10年越しの恋
昼食後

「ごちそうさまでした。おごってもらちゃって…。私のほうがお姉さんなのに。ありがとね! すっごいおいしかった。いいなぁ、近くにこんなお店があって」


「いつでも連れて来てあげるよ。瀬名さんほんと美味しそうに食べてたから。俺までうれしくなった」

じゃあ次は食後のお茶おごったげる。そう言おうと考えていたら、


俺の家このお蕎麦屋さんのすぐ近くなんだ。ちょっと寄って行かない?」

突然? まだ付き合ってもいないのに?? なにを言い出すの?


「えっと、それは…。お家の人とかいると緊張するし、どういう関係なのとかいろいろ思われるだろうし…」


「大丈夫!」

そのまま手を引かれ歩いていくと目の前に大豪邸が。

お蕎麦屋さんへ歩いている時からすごいお屋敷街だなとは思ってたんだけど、まさか雅紀の家がその一つだったなんて。


「えっ!ここがお家?」


「そう、だから話してたでしょ。家はでかいよーって」


「それはそうなんだけど……。ほんとすごい」


「まあ 入って」


道路に面する小さな門から1歩中に入るとそこは旅館!としか思えないようなお庭が。
奥へ進むと蔵まであって…。
普段生活している家の奥にはまた庭が広がっている。
そこに昔おじいさんの時代に暮らしていたという母屋とお茶室。
母屋の正面には本当の玄関だという立派な門が。

初めて雅紀に出会った日に彼もいるし年下だしって。あまりまじめに相手をしていなかったから


「どんな人が好み?」っていう彼に


「大きな家に住んでるお金持ち」って答えてたんだ。

私がそんな風に言ったのは、まったく雅紀にお金持ち独特のいやらしい感じを受けなかったから。

カジュアルな格好をしていても、どこか品のいい雅紀の雰囲気は育ちの良さからなのかな?と思った。

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