10年越しの恋
雅紀の部屋。
窓からはきれいな山の緑が見える。

たくさんの話をした。

昔の彼女の写真も見せてくれた。

初めての彼女。
すごく好きだったけど高校を辞めたのを知った彼女の親に反対されて別れた事。

すっごいわがままな彼女だったけど、好きな相手の為なら我慢できるんだ~。って自信たっぷりに話す雅紀はかわいかったな。


<コンコン> 「入るわよ」???

なんとお母さん、お姉さんのさえちゃん、そしておばあちゃんが!揃いも揃ってお茶を持って来てくれた。

「はじめまして 岩堀と言います。」

全身値踏みされるような視線… 沈黙。

「はじめまして、雅紀の母です。お友達?」

「はい」

「高校生には見えないけど…」

「はい、大学2年生です」

「あらそう、まあゆっくりしてらしてね」

「もー 早く出て行って。関係ないだろ」

雅紀の言葉に即されて出て行ってくれた。

お金持ち独特の人を見下す感じ。
言葉にはならないなにか嫌な感情が胸を支配した。

夕方、駅前。

「携帯番号も教えてよ。またデートしようね」

「うん…」

帰りの電車の中で気付いたんだ。
雅紀を好きになり始めている自分。

3つの年の差、予備校生の雅紀、遠距離の彼の存在。そして彼のお母さん。

でも、そんなことどうでもいいって思えるぐらいに

この時すでに雅紀のことを好きになっていた。

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