10年越しの恋
「私の力作の卒論Cだし……」

成績発表以来ずっとそう言ってすね続けているさや。

「私も彼氏がほしい!!」

酔ったまさよは冗談めかして叫ぶ。

なぜか意気投合している西田君、さや彼、雅紀の3人は楽しそうに乾杯を繰り返している。



そんなみんなを眺めていると、4年間が走馬灯のように浮かぶ。



友達ができるのか不安だった入学式。

初日に大切な友達に出会うことが出来た。

続かなかったサークル。

浩一との恋。まさよの思い。



2年生、雅紀と出会った。

みんなで行った海、楽しんだBBQ、花火。

毎日のランチ、カフェでのお茶。

いっぱい話をした。

誰かが失恋したと言って慰め合い、新しい恋を祝った。

授業を抜け出し通った海岸、雅紀とのキス。

L.Aと日本で交わした手紙、電話。

数え切れないほどの思い出ができた。


今日で最後の学生生活。


みんなの笑顔を忘れないでいたいと思った。







明日から始まる新しい生活。

きっともっと嬉しいことも、辛いことあるだろう。


でも、がんばって歩いて行こう。歩いて行ける。

そう信じたくなる夜だった。
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