10年越しの恋
初めてのデートの後も毎日メールや電話をしてくれた。

毎日10時に掛かってくる電話。

「今日は何してた? 大学ちゃんと行ってる?」

「行ってるよ~ そんなことより8月に大検でしょ?
ちゃんと勉強してるの?」

「瀬名さん経験者でしょ? ある程度中学での勉強ができたらあとは余裕なの知ってるくせに」

「その余裕がやばいんだって! 逆に家庭科とかの副教科、ぎりぎりになって焦るよ~」

「おれは瀬名さんほど抜けてないから大丈夫」

「それよりさ~ もういい加減瀬名さんって呼ぶのやめない? なんかすごい変な感じがする」

「でも瀬名さんだって一度も俺のこと名前で呼んでないよ」

「それはさ、なんかやっぱり予備校では生徒さんだし」

「じゃあ呼び方決めよ。俺はみんなにまあちゃんって呼ばれてるからそう呼んで。瀬名さんはみんなからなんて呼ばれてる?」

「う~ん、私はみんな呼び捨てで瀬名かな?年上も下も関係なく。呼びやすいみたいな?」

「じゃあ瀬名、俺の彼女になって。付き合おう。俺瀬名のこと大好きだよ」

突然の告白

「でも……。」

「遠恋の彼のこと? だって瀬名もう俺のこと好きでしょ? 俺が絶対に幸せにしてあげるから。信じて」

初めてだった。こんなにまっすぐな人の気持ちに出会ったのは。雅紀はとても一途で、きれいな心の持ち主だと思った。そんな彼に私は夢中だった。

私は浩一との別れを心に決めた。
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