10年越しの恋
結局浩一からの誘いを断れなかった。

2泊3日、雅紀には地方の大学に行った友達に会いに行くと嘘をついて出かけることにした。

出発前日。突然の寒気、38度の発熱。

「もしもし あのね… なんか急に熱でちゃって明日行けないかも…」

「旅行にならなくてもいいからさ、顔見せにぐらい来てよ。駅までは車で迎えに行くから」

この発熱が嵐の前兆だったんだ。

親友のさややゆう、そして雅紀と顔見知りになっていた友人にも話さないで出かけたのが間違いだったのかもしれない。


こんな中途半端な自分を友達に知られたくなかったから。
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