10年越しの恋
「は? お前自分が何言ってんのか分かってんのかよ」


「分かってるよ」


あえて目を逸らさないでそう答えた。


「なんでだよ、あんなに産みたいって言ってただろ」


「いろいろ考えたら気が変わっちゃった」


「はあ?」


「なんか急に自信なくなちゃって」


「意味分かんないんだけど」


「まだ早いんじゃないかなって」


「瀬名なに言ってんの?」


「今の私たちでちゃんと育てることできるかな?」


「だから二人でがんばろうって話したんだろ」


「でもそんな簡単なことじゃないのかもって。やっぱりきちんと大学卒業してもらいたいし」


「何があったんだよ、何でそんな突然」


「ごめんね、怖くなっちゃったんだ。私のわがままを許してもらえないかな」


訳分かんねーよ、そう言い残し雅紀は店を出て行ってしまった。

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