10年越しの恋
私は人に上手く相談することができない。
もちろんそれがたとえ両親でも親友であったとしても。

時折話す母親の話だと最初の子は3ヶ月で流産。二人目の子は生まれて3時間で死んでしまったらしい。
その子は幸子と名づけられ、私のお姉さんだった。

一人っ子。

幼い頃の私の部屋は兄弟がいなくても寂しくないようにと、おもちゃであふれかえっていた。

甘やかされていたと思う。

でも、母親ははいつも私に繰り返しこう言って聞かせた。

「瀬名、あなたは一人っ子だからお父さんとお母さんがいなくなったら一人ぼっちになってしまう。だからなんでも自分1人で決められる子になりなさい」

何度も何度も、そう言って聞かされた。

そんな幼い頃からの暗示の影響。

本当に悩んでいる時、困っている時ほど私は誰にも何も話さなかった。

1人で悩んで、考えて決断していた。


そんな毎日が寂しかったことに全く気付いてはいなかった。

そうあの時までは。
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