10年越しの恋
リビングの扉を開くと楽しそうにお酒を酌み交わすみんなの顔が見える。

全くそんな気分ではなかったが両親と3人だけでないのが救いな気がした。


「瀬名ちゃん! 久しぶりだよね。ここ座れば」


幼い頃よく一緒に遊んでくれたお兄さんとお姉さんが空いた隣の席を勧めてくれる。


「本当に久しぶりですよね」


「もう飲める年になったんだよね?」


「だってもう12月で24歳ですよ」


『えー なんかいつまで経っても幼稚園みたいなイメージだけどね』


「もしかして昨日は彼氏と遊びに行ってたの?」


「そんなじゃないよ、いつも仲良くしてるグループでちょっと遊びに…」


繰り返される質問や会話が苦痛で仕方なかった。


両親が離婚してしまってるこの二人はそんなこともあってとても仲が良い。

もし私にも兄弟がいたら今回のことを相談して違う選択をしていたのかな?

そんなことを思いながら時間が過ぎるのを待った。



益々盛り上がりを見せる宴席からそっと席をはずして外へ出ると、夕暮れを知らせる空が広がっている。

ぶらぶらとコンビニへ向かって煙草とウーロン茶を買い、急いで部屋へ戻って夜の外出にどうしても持って行きたいものを作り始めた。
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