10年越しの恋
それから1週間眠ることができない日々。
正確には眠ることができないのではなく、暗闇の中で眠りに落ちるその瞬間が怖かった。
明け方の空が白み始めた時間から鳥のさえずりを聞きながらの浅い眠りだけで過ごした。
今日はずっと休んでいた大学へ久しぶりの登校。
寝不足で体は重かったけど気分転換になるだろうって思った。
それに院試が1ヶ月後に迫っている。
食欲がなかったので朝食も食べずに家を出た。
校舎への坂道は夏休み中で自分の足音だけが響く。
少し眩暈を覚えながらも10階にある教授室を目指した。
「長い間お休みして申し訳ありません」
そう言って頭を下げると、いつもの優しい佐倉先生の笑顔があった。
「体調はいかがですか? 顔色が悪いようですが」
「いいえ、もう大丈夫です」
「そうですか、では」
そう言って私が手渡した課題を確認する。
「うん、この調子なら大丈夫なんじゃないですか」
「ありがとうございます」
笑顔を見せない私に不思議そうな表情を向ける。
「褒めてるのにうれしくないんですか?」
「えっ、あ、はい。うれしいです」
言葉にしてみたものの、まったく反応しない感情。
そんな自分に戸惑った。
「では9月1日から願書提出が始まりますから、気を抜かないでがんばってくださいね」
「ありがとうございました」
そう言って部屋を出た。
うれしいはずなのに、夢が近づいてきているのに全く何も感じない。
そんなことを考えながらエレベーターホールへと歩いていると、突然目の前が真っ暗になる。
手足に力が入らなくなってその場に倒れこんだ。
正確には眠ることができないのではなく、暗闇の中で眠りに落ちるその瞬間が怖かった。
明け方の空が白み始めた時間から鳥のさえずりを聞きながらの浅い眠りだけで過ごした。
今日はずっと休んでいた大学へ久しぶりの登校。
寝不足で体は重かったけど気分転換になるだろうって思った。
それに院試が1ヶ月後に迫っている。
食欲がなかったので朝食も食べずに家を出た。
校舎への坂道は夏休み中で自分の足音だけが響く。
少し眩暈を覚えながらも10階にある教授室を目指した。
「長い間お休みして申し訳ありません」
そう言って頭を下げると、いつもの優しい佐倉先生の笑顔があった。
「体調はいかがですか? 顔色が悪いようですが」
「いいえ、もう大丈夫です」
「そうですか、では」
そう言って私が手渡した課題を確認する。
「うん、この調子なら大丈夫なんじゃないですか」
「ありがとうございます」
笑顔を見せない私に不思議そうな表情を向ける。
「褒めてるのにうれしくないんですか?」
「えっ、あ、はい。うれしいです」
言葉にしてみたものの、まったく反応しない感情。
そんな自分に戸惑った。
「では9月1日から願書提出が始まりますから、気を抜かないでがんばってくださいね」
「ありがとうございました」
そう言って部屋を出た。
うれしいはずなのに、夢が近づいてきているのに全く何も感じない。
そんなことを考えながらエレベーターホールへと歩いていると、突然目の前が真っ暗になる。
手足に力が入らなくなってその場に倒れこんだ。