10年越しの恋
「もしもし まぁちゃん? 心配かけてごめんなさい」

「今、浩一さんのところでしょ。なんで話してくれなかったの? 俺が心配するから?」

「……」

「もうちゃんと話は出来た? 瀬名の気持ちは決まってるんだよね。話が終わって新幹線に乗ったら連絡して。駅まで迎えに行くから。待ってるから」

雅紀の声を聞いて、浩一に、自分に嘘をつくのをやめようと決心した。

1度は大好きになった浩一。
だからこそ正直に話さなきゃ。そう思った。
それがその当時、私の精一杯の誠意だと思った。
正直すぎる気持ちが人を傷つけるなんてことを知らなかった。

行き場を失った人の感情が凶器になるなんてこと。

そんなこと全く想像すら出来なかった。


きちんと話すんだ。話せばわかってくれる。

そう決意した私は浩一の部屋へと戻った。 
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