10年越しの恋
「咲は彼氏いないの?」
「いない。誰か紹介してよ」
「咲はね実は今まで誰とも付き合ったことないんだよ」
酔い始めたさやの暴露を否定することもなく咲が恥ずかしそうに頷いた。
「そうなんだ! じゃあ恋のお手伝いしないとね」
ひとしきり咲を質問攻めにしてからかった。
次に注文したワインを飲み進めた私たちはその甘い香りとアルコールに緩んだ思考回路で取りとめもない話を続ける。
ゆうが30歳になっても一人だったら結婚するという不明な約束をして西田君とは結局付き合うでもなく疎遠になる訳でもない関係を続けていること。
まさよが就職先の激務に耐えきれずに退職して地元に帰ったことなどを報告した。
2本目のワインが半分程空いた頃だった。
テーブルの上で震える私の携帯にいち早く気づいたさやが手に取る。
「もっしもーし、まあちゃん?」
「あれ? これって岩堀さんの携帯ですよね」
さやだと分かっていながらわざと気付かない振りをした雅紀。
「瀬名!! 相手にしてくれないよ!!」
ふざけるさやはそんな対応が不満だったみたい。
「楽しそうだね、ちゃんと家帰れる?」
「うん! 最悪タクシーで帰るから大丈夫だよ」
ご機嫌に答えると雅紀も嬉しそうにしてくれているのが伝わってきた。
少し二人に背を向けるような体勢で話していると今度は咲が電話を奪う。
「はじめまして! 瀬名の新しいお友達の咲です」
「雅紀君迎えに来て!!!」
咲の後ろで叫ぶさやにきっと苦笑いしてるだろうと思った。
「いいよ。迎えに行ってあげる」
”迎えに来てくれるって”
びっくりしたように携帯を私に返してくれた。
「気にしないでいいよ。酔っぱらいの戯言だから」
勝手に友達と遊んでいるのにそんなわがままを言っちゃいけないと思った。
でもお酒を飲むと寂しさが顔をもたげて会いたい気持ちもある。
「瀬名の顔見たいから行くよ」
そう言って迎えに来てくれることに甘い気持ちで包まれた。
「いない。誰か紹介してよ」
「咲はね実は今まで誰とも付き合ったことないんだよ」
酔い始めたさやの暴露を否定することもなく咲が恥ずかしそうに頷いた。
「そうなんだ! じゃあ恋のお手伝いしないとね」
ひとしきり咲を質問攻めにしてからかった。
次に注文したワインを飲み進めた私たちはその甘い香りとアルコールに緩んだ思考回路で取りとめもない話を続ける。
ゆうが30歳になっても一人だったら結婚するという不明な約束をして西田君とは結局付き合うでもなく疎遠になる訳でもない関係を続けていること。
まさよが就職先の激務に耐えきれずに退職して地元に帰ったことなどを報告した。
2本目のワインが半分程空いた頃だった。
テーブルの上で震える私の携帯にいち早く気づいたさやが手に取る。
「もっしもーし、まあちゃん?」
「あれ? これって岩堀さんの携帯ですよね」
さやだと分かっていながらわざと気付かない振りをした雅紀。
「瀬名!! 相手にしてくれないよ!!」
ふざけるさやはそんな対応が不満だったみたい。
「楽しそうだね、ちゃんと家帰れる?」
「うん! 最悪タクシーで帰るから大丈夫だよ」
ご機嫌に答えると雅紀も嬉しそうにしてくれているのが伝わってきた。
少し二人に背を向けるような体勢で話していると今度は咲が電話を奪う。
「はじめまして! 瀬名の新しいお友達の咲です」
「雅紀君迎えに来て!!!」
咲の後ろで叫ぶさやにきっと苦笑いしてるだろうと思った。
「いいよ。迎えに行ってあげる」
”迎えに来てくれるって”
びっくりしたように携帯を私に返してくれた。
「気にしないでいいよ。酔っぱらいの戯言だから」
勝手に友達と遊んでいるのにそんなわがままを言っちゃいけないと思った。
でもお酒を飲むと寂しさが顔をもたげて会いたい気持ちもある。
「瀬名の顔見たいから行くよ」
そう言って迎えに来てくれることに甘い気持ちで包まれた。