10年越しの恋
「えっ!!!! 咲とケン同じ会社だったの?」
癒し系のハワイアンソングが流れる店内にそぐわない素っ頓狂な声が思わず出た。
商社の営業になったということは風の噂で聞いていたが会社名なんて知らなかったし、数えきれない数の会社があってそこに咲とケンの二人が勤めていて、咲とさやが知り合いで…。
何気なく働き始めた会社が同じ街にあっての再会。
一気に多くの情報を処理しようとした思考回路がショートしそうな衝撃を受ける。
盛り上がる私たちは咲と大沢さんが気を利かせて注文を済ませてくれたことに飲み物が運ばれてくるまで気づかなかった。
何杯目かのビールを飲み干した後に洗面所で化粧直しをしながら今日の本来の目的は大沢さんと会うことだったことを思い出す。
「ごめん…。なんか違う方向に楽しんじゃって」
「気にしないでいいよ。でもさ、松本って瀬名とどういう関係なの?」
「どうもこうも説明したままの同級生だよ」
そう答えると鏡越しに疑う咲の視線を感じる。
「そんなことより大沢さんいい人そうじゃない?」
話題を元に戻すとその眼が緩む。
「ホントに!! 本当にそう思う??」
恋する女の子の目に変化した咲は大きな声で同意を求めながら私の手を取った。
癒し系のハワイアンソングが流れる店内にそぐわない素っ頓狂な声が思わず出た。
商社の営業になったということは風の噂で聞いていたが会社名なんて知らなかったし、数えきれない数の会社があってそこに咲とケンの二人が勤めていて、咲とさやが知り合いで…。
何気なく働き始めた会社が同じ街にあっての再会。
一気に多くの情報を処理しようとした思考回路がショートしそうな衝撃を受ける。
盛り上がる私たちは咲と大沢さんが気を利かせて注文を済ませてくれたことに飲み物が運ばれてくるまで気づかなかった。
何杯目かのビールを飲み干した後に洗面所で化粧直しをしながら今日の本来の目的は大沢さんと会うことだったことを思い出す。
「ごめん…。なんか違う方向に楽しんじゃって」
「気にしないでいいよ。でもさ、松本って瀬名とどういう関係なの?」
「どうもこうも説明したままの同級生だよ」
そう答えると鏡越しに疑う咲の視線を感じる。
「そんなことより大沢さんいい人そうじゃない?」
話題を元に戻すとその眼が緩む。
「ホントに!! 本当にそう思う??」
恋する女の子の目に変化した咲は大きな声で同意を求めながら私の手を取った。