10年越しの恋
どんな日々を過ごしていても進んでいく毎日。

12月も中旬を迎えていた。

多くの忘年会に顔を出す両親はほぼ毎日家にはいない。

今日も無難に仕事を終えて家に帰るとモモだけがしっぽを振って迎えてくれた。

一人では食事を取る気にもなれずモモを抱いて部屋へと向かう。

まだ少し時間的には早かったが何となく寂しくなって雅紀に電話をした。


「もしもし」


電話から響く雅紀の声に耳を済ませた。


「瀬名? どうしたの?」


「いつもより早い時間にごめん」


「いや、いいよ」


そのままいつもと変わりない話を続けてその流れで何気なく口にした質問。


「年が明けたら就職活動だよね。どうするか決めた?」


とたんに何も声が返ってこなくなった。


「まだ決まってないか…」


責める雰囲気にならないように言葉を繋ぐ。

それでも無言のままの電話に不安になりモモを撫でて気持ちを逸らした。


「ごめん。まだ何とも言えない」


長い沈黙の後に返って来た言葉は私の不安を煽るだけのものだった。


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