10年越しの恋
「新朗新婦の入場です」
聞きなれた当たり前の司会で始まった披露宴。
式では遠目にしか見えなかったウエディングドレスを着たまさよは本当に綺麗で輝いていた。
新朗が浩一にそっくりで驚いたのは私だけだろう。あえて隣に座るさやとゆうには伝えずに一人微笑んだ。
上司によるスピーチ、乾杯の音頭。
次々に行われる挨拶の中ありえないほど豪華な料理が運ばれてくる。
「なんかすごくない?」
楽しそうに食べ進むさやとゆうみたいに私には余裕がなかった。
式の後半、新婦から両親への挨拶の直前にスピーチが待っていた。
あの日以来鬱病、過呼吸を患って人から注目されることを避けていたのにまさよからの依頼を断りきれずにこの日を迎えた私はすでに息が上手く出来ないくらいに緊張している。
2度目のお色直しの後が出番だ。
苦しくなりタイミングを見計らって喫煙室へと走った。
屋外に設置されたその場所でやっと酸素が体に廻った気がする。
大丈夫、怖くない。何度自分に言い聞かせてみても手の震えは止まらなかった。
不安にたまらなくなって火を点けた煙草を手に雅紀に電話を掛けた。
2コール目で「もしもし」って大好きな優しい声が聞こえてきた。
「まあちゃん? スピーチ無理かも…」
「どうした? 仲良しのまさよちゃんの為なんだから頑張らないと」
「私も幸せになりたい。あんな風に笑いたいよ」
悲しくて悔しくて不安で泣けてきた。
「何時に終わるの? 迎えに行くから、がんばれ」
「もう頑張れない…」
「さやさんかゆうさんそこにいないの?」
「誰もいない、こんな自分見られたくない」
緊張で苦しいのか、不安発作なのか分からないぐらい苦しかった。
「ごめんな…。 でも瀬名なら出来るから、絶対出来るから」
「頑張ったら迎えに来てくれる? 18時に会える?」
「行くから、今だけ頑張って」
電話を切った後、涙で滲んだメークを直して立て続けに2本煙草を吸って会場に戻った。
聞きなれた当たり前の司会で始まった披露宴。
式では遠目にしか見えなかったウエディングドレスを着たまさよは本当に綺麗で輝いていた。
新朗が浩一にそっくりで驚いたのは私だけだろう。あえて隣に座るさやとゆうには伝えずに一人微笑んだ。
上司によるスピーチ、乾杯の音頭。
次々に行われる挨拶の中ありえないほど豪華な料理が運ばれてくる。
「なんかすごくない?」
楽しそうに食べ進むさやとゆうみたいに私には余裕がなかった。
式の後半、新婦から両親への挨拶の直前にスピーチが待っていた。
あの日以来鬱病、過呼吸を患って人から注目されることを避けていたのにまさよからの依頼を断りきれずにこの日を迎えた私はすでに息が上手く出来ないくらいに緊張している。
2度目のお色直しの後が出番だ。
苦しくなりタイミングを見計らって喫煙室へと走った。
屋外に設置されたその場所でやっと酸素が体に廻った気がする。
大丈夫、怖くない。何度自分に言い聞かせてみても手の震えは止まらなかった。
不安にたまらなくなって火を点けた煙草を手に雅紀に電話を掛けた。
2コール目で「もしもし」って大好きな優しい声が聞こえてきた。
「まあちゃん? スピーチ無理かも…」
「どうした? 仲良しのまさよちゃんの為なんだから頑張らないと」
「私も幸せになりたい。あんな風に笑いたいよ」
悲しくて悔しくて不安で泣けてきた。
「何時に終わるの? 迎えに行くから、がんばれ」
「もう頑張れない…」
「さやさんかゆうさんそこにいないの?」
「誰もいない、こんな自分見られたくない」
緊張で苦しいのか、不安発作なのか分からないぐらい苦しかった。
「ごめんな…。 でも瀬名なら出来るから、絶対出来るから」
「頑張ったら迎えに来てくれる? 18時に会える?」
「行くから、今だけ頑張って」
電話を切った後、涙で滲んだメークを直して立て続けに2本煙草を吸って会場に戻った。