10年越しの恋
二人がいればいつも通りの関係でいられたけれど、途中でさやを下ろし、ゆうの家の前でさようならした後は落ち着かない時間。


「せっかくだしどっかでお茶でも飲む?」


「お茶じゃなくてお酒飲みたい」


「でも俺車だし」


「飲みたいの!!」


いつからだろう…。雅紀のことを考えることが出来なくなってただ自分の感情が赴くままに行動するようになっていた。

今日みたいに自分の気持ちが暴れ始めるとお酒を浴びるように飲んでそのやりきれない気持ちをぶつけた。


「どうして私だけ幸せになれないの? どうして結婚出来ないの?」


「なんで華ちゃんここにいないの? 私が何か悪いことした?」


雅紀に答えられるはずのない問いかけを繰り返して責め続けた。

その度に苦しそうに悲しい目をしていた雅紀。


「もう一緒にいない方が瀬名は楽になれるのかな?」


そう言って一緒に泣いてくれた。


正直二人でいる事が辛かった。

たった数週間だったけど雅紀と二人で親になる夢を持ったこと。

華ちゃんと3人で過ごす毎日を想像したあの日が私を苦しめていた。

でも一人になる勇気もなくてどうすればいいのか全く分からなかった。


「あの日に戻りたい……」


いつもそう言って泣く私を雅紀はどう思っていたんだろう。

悲しみに心全部が支配されてもうなにも見えなかった、分からなかった。


まあちゃん、いっぱい傷つけてごめんね。

痛くて苦しくて前が見えなくて、まあちゃんの痛みに気づくことが出来なかった。

どれだけあなたを傷つけてたんだろう。

私を許してくれますか?
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