10年越しの恋
「お仕事はどうですか?」
「なんとかがんばってるつもりなんですが…」
もう20年近くも臨床心理士として第一線で活躍する先生が持つ雰囲気は独特で、あっという間に人をリラックスさせて心を開く力を持っていると私は思う。
「もう一度挑戦する気になりましたか?」
ポットから急須にお湯を注ぎながら、いたずらっ子のようなトーンで話しかけた。
きちんとした理由も説明しないまま姿を消した私に嫌な顔をする訳でもなく、むしろもう一度背中を押すような態度を見せてくれることが不思議で仕方がなかった。
「あの時は勝手な理由で先生の好意を無駄にしてしまって本当に申し訳ありませんでした」
綺麗な緑色のお茶を並々と注いだマグカップを手に、そう言って頭を下げる私に言った。
「僕のことよりもあなた自身のことです」
詳しい理由を無理に聞こうとはしないまま淡々ともう一度挑戦するべきだと話してくれる。
「あの…、私もあの日の目標をあきらめた訳ではありません。でもまだ今は自分を許せていないというか、消化しなければいけない問題があって、それをきちんと自分の中で納得できた時にやっと前に進むことができる。そんな気がするんです」
「相変わらず不思議な人ですね」
「なんとかがんばってるつもりなんですが…」
もう20年近くも臨床心理士として第一線で活躍する先生が持つ雰囲気は独特で、あっという間に人をリラックスさせて心を開く力を持っていると私は思う。
「もう一度挑戦する気になりましたか?」
ポットから急須にお湯を注ぎながら、いたずらっ子のようなトーンで話しかけた。
きちんとした理由も説明しないまま姿を消した私に嫌な顔をする訳でもなく、むしろもう一度背中を押すような態度を見せてくれることが不思議で仕方がなかった。
「あの時は勝手な理由で先生の好意を無駄にしてしまって本当に申し訳ありませんでした」
綺麗な緑色のお茶を並々と注いだマグカップを手に、そう言って頭を下げる私に言った。
「僕のことよりもあなた自身のことです」
詳しい理由を無理に聞こうとはしないまま淡々ともう一度挑戦するべきだと話してくれる。
「あの…、私もあの日の目標をあきらめた訳ではありません。でもまだ今は自分を許せていないというか、消化しなければいけない問題があって、それをきちんと自分の中で納得できた時にやっと前に進むことができる。そんな気がするんです」
「相変わらず不思議な人ですね」