10年越しの恋
11時近くなると途端に潮が引き始め、白く打ち寄せていた波が全く無くなっていくのが私にも分かった。

日の出とともに朝食を食べるとこの時間にはもうすでに空腹で昼食を取るついでに街に車を走らせ水着を調達して海に戻った。

狭い車内でビキニに着替えて浜辺に戻ると朝声を掛けてくれた同じ人がそこで待っていてくれた。


「探してたんですよ。やってみますか?」


貸してもらったウエットスーツを汗だくになりながら着て砂浜で準備運動をした。

まだ海水浴には少し早い時期だったけれど太陽はもう十分に夏の表情で、これからどんどん増してくるだろうその光を浴びながら体を伸ばすだけで気持ち良かった。


「じゃあとりあえず板を持って海に入ってみましょう」


練習用だというビート板をサーフボード型に切り出した感じの自分の身長よりはるかに大きな板を持って海に入った。

< 326 / 327 >

この作品をシェア

pagetop