10年越しの恋
11時45分 雅紀が家に帰ることの出来る最終電車の時間。

「まあちゃん、ありがとね。正直もうダメかと覚悟してた。あんな見苦しいとこ見せて、大事な試験の前に迷惑かけたし…。だから今日は会えてうれしかった。さっきの言葉も…」

そういいながらまた涙が溢れてくる。

そんな私を雅紀はやさしくハグした。

あまり背の高くない雅紀は、いつも10cm以上のヒールを履く私と外では身長があまり変わらない。
だからハグするといつもすぐ目の前に雅紀の顔がある。

私の涙を指で拭いながら言った。

「一緒に幸せになろうね」

そしておでこに優しいキスをくれた。

「さ! 涙はおしまい。俺が家に着くまでにお風呂入ってほかほかになって待ってて。電話するね」

そういって雅紀は最終電車へ、階段を駆け上がっていった。
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