10年越しの恋
ビルの屋上 眼下には街を行きかう大勢の人が見える。

たくさんの高層ビル。その明かりがイルミネーションのように輝く。

1日早いけどお誕生日おめでとう、乾杯!!!

二人は大きなジョッキを目の前で合わせ勢いよく飲んだ。

「おいしぃいい やっぱ一杯目はビールだよね」

そんなオヤジのような発言をするさや。

暑すぎる真夏と違い、風が心地よく気持ちがいい。

「うん 美味しいね! なんか楽しいぞ」

「楽しいね、やっぱいいよね。女同士も」

二人は前菜という名のサラダをつまみながら、ビール飲み放題!BBQ食べ放題!というBBQのお肉を網に並べながら話を続けた。

「改めて、さや20歳の誕生日おめでとう!!」

「ありがとう。うれしいよ! 祝ってくれて。でもさ20歳っていったって何も変わらないよね。もうすでにお酒飲んでるし、タバコも吸ってるし」

*「だよね、私も去年同じこと思った」

「でもいくつになったとしても誕生日は楽しまないと。なんてったってこの世に生まれた日なんだから」

「そうだよね!楽しもう!!!」

そういってさやは一気にビールを飲み干した。
店員さんにおかわりを注文し、タバコに火をつける。

「瀬名が元気そうでよかったよ」

(???)

「ほら、あんなことあってすごい傷ついてたみたいだったから。内心心配してたんだ。」

(・・・・。)

「浩一さんとのこと。周りから見てたらすっごい辛そうな時も瀬名がちょっと大変だけど大丈夫って笑ってるのとか見てたから。だからよっぽど我慢してたんだな~ってさ。ずっと心配してたから。今回変な言い方かもしれないけど雅紀くんと出会って、瀬名が幸せそうになってうれしい!!」

相談しているつもりだった。でもいつも詳しい話はしなかった。そんな話 周りを不愉快にするだけだって。そんな風に感じる私がいるから。でも心配してくれてた さや。

「ありがとう!!! いろいろ大変だったけど、今幸せだから。雅紀と出会えたこともそうだけど、こんな最高の友達がいる。こんな幸せないよね」





*注釈
日本で当時9月入学を認める大学は少数で、6月に卒業となるアメリカの高校を出た私は浪人生と同じ扱いになっていた。
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