10年越しの恋
翌朝 頭痛い…。最悪だ。

久しぶりに二日酔いの頭痛。

「汗かいてアルコール排出作戦」

ゆっくり半身浴。

ぬるめのお湯にお気に入りの入浴剤。
 
”甘いココナッツの香り 発汗を促し、美肌へ ” 

そんなキャッチコピーのついたものだ。

浴槽の上に3分の2ほど広げたじゃばら状のふたの上に情報誌を広げページをめくる。

<おすすめレストランガイド>なるものを見ながら雅紀の誕生日を祝う為のお店を探していた。

初めて二人で祝う誕生日だし、いつもファミレスばっかりだからいいよね! 美味しいご飯食べよう! そう思った。

いつもお風呂の長い私は小さな防水ラジオを用意している。


♪♪♪♪

大好きだったドラマの主題歌が流れる・・・。

そういえばこのドラマも主人公の彼が年下の設定だったな。
あんな風にハッピーエンドを迎えられるのかな?
そんな風に考えながら、一人幸せだった。


その日はお風呂からあがり部屋に戻ってからも、何冊も情報誌を繰り返しみながら雅紀が喜びそうなお店を探した。


夜10時 お互いが外出していない日の約束の時間。

雅紀からの電話

「瀬名、今日はどうしてた?」

瀬名って呼びかける雅紀の声が大好きだった。

「うぅ…。久々の二日酔いで死んでた」

「だろうと思った。だって昨日俺に大好き!っていうぐらい酔ってたからね」

優しく、ばかだなぁという感じで電話の向こうで笑う雅紀。

「そんなことより土曜日なんだけどね、いいお店予約したから。M駅の改札に18時30分でいい?」

「そんなことしなくてもいつものファミレスでいいよ」

「ちゃんとお祝いしたいの。まあちゃんが生まれた大切な日だから」

「昨日みたいに大好きなまあちゃんとは言ってくれないの?」

昨日のさやと同じようにお酒を飲んでないと素直にならない、照れる私をからかう。

「もぉー じゃあ土曜日の伝達事項は終わり」

笑いながらわかったといった雅紀は、その日の何気ない1日の話をしてくれた。

30分ほど話した後。

「じゃあおやすみ、愛してるよ」

「ありがとう」

そう二人の暗号のような、大切な言葉を交わし電話を切った。
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