10年越しの恋
「もう2時だよ~ ありえない~」

お昼も食べずに並んだ私たちはたまらず人もまばらな食堂へと急いだ。

もうお背中とお腹がくっつくぞ!なんて、べたなことを言いながら目の前のオムライスにスプーンを運ぶ二人。

「幸せだといいね。まさよ」

「ほんとそう思うよ。私の予想が当たってますように」

そういい顔の前で手を合わせ、祈るさや。

「きっと大丈夫」重なる二人の声に目が合う。

そしてもう一度声を揃えてこういった。

「まさよが幸せになれますように!」



食後の一服。ランチタイムは禁煙の食堂もピークを過ぎた15時からはタバコが吸える。

「瀬名、この後雅紀くんに会うんだよね? 乗ってく? 彼が迎えに来てくれるって言ってるし。M駅までだよね?」

「ほんとに? いいの? やった!」

正門前、さやが手を振りながら1台の車へと近づく。
黒のスポーツカー、アルファロメオだ。

「待った? ごめんね。方向いっしょだからさ、瀬名をM駅でおとしてあげてくれる?」

開けた窓越しに乗って! 私に声をかけたさやの彼。上半身しか見えないが、スーツを着ているのがわかる。噂の年上の彼だ。

「はじめまして岩堀です。すいません、便乗しちゃって」

そういいながら後部座席に座った。

「どうせ俺らも今日はその近くに行く予定だし、瀬名ちゃんの話はさやからいっつも聞かされてて会ってみたかったから」

楽しそうに、恋する乙女に変身したさやを後部座席から冷やかしながらM駅へと向かった。


ありがとうございました。お礼をいいながら車を降りる。私に手を振っていたが、携帯の呼び出し音に慌ててバックの中を探りはじめたさやを見送った。

To さや From まさよ

さや~ 今日はごめんね。無事に登録は終わった?
瀬名と一緒?

From さや To まさよ

全然いいよ~ 今日私たちはお互いデートだよ

私が見送った車内でさやとまさよはこんなメールを交わしていた。
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