10年越しの恋
格安でステーキが食べられるちょっと雰囲気のいいファミレス感覚のお店だ。

昔の特急列車の車内をイメージした内装は背もたれによって各テーブルが区切られ、周りがあまり気にならない。

「何食べる~?」

「俺はステーキ400グラムとライス! 瀬名は?」

「ほんとよく食べるよね。なのに太らないのがうらやましいよ」

「だって俺まだまだ成長期だし!」

「ふふふ、そうだよね。じゃあ私はスープ&サラダバーで」

なに~ダイエット??? うそうそ。瀬名、野菜大好きなんだよね。そう言いながら注文を済ませた。

雅紀の注文した料理が揃うのを待って、私はサラダを取りに席を立った。

色とりどりの野菜が並ぶバーカウンター。
お皿に野菜を取り終え、ドレッシングをかけようと手を伸ばすとその先に見慣れた顔。

まさよと浩一? 瞬きをして改めて視線を送る。
間違いない、二人が向かい合って食事をしている。

どういうことなのだろう? 私は全く状況が理解できないまま席に戻った。

「ねぇ まあちゃん、向こうにまさよと浩一がいる」

「えっ? 瀬名の見間違えじゃないの?」

「私もそう思ったんだけど、間違いないよ」

ちょうど反対側、サラダバーカウンターをはさんだ向こう側に視線を移す雅紀。

「うん、そうみたいだね」

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