10年越しの恋
「はい これクリスマスプレゼント」

グレーのマフラーを選んだ。

「ありがとう、あったかそうだね」

「受験生が風邪引いたら困るからね」

「じゃあこれは俺から」

きれいなブルーの紙袋、Tiffanyだ。
中には同じブルーの小さな箱に真っ白なリボンが結ばれている。

「開けてみて」そう即されてリボンをほどいた。

箱の中には当時流行っていたフックを模したリングとブレス。

「ありがとう」

箱からリングを取り出し、左指にはそっとはめてくれる。

涙が出そうになる。

「ピッタリだね、よかった。サイズ悩んだんだ。今はまだこんなシルバーのリングだけど、いつか瀬名の大好きなきらきらの指輪を買ってあげるからね」

掌を目の前にかざすと、真新しいリングはキャンドルの光を反射し輝いた。


たくさんの小さな明かりに彩られた大きなツリーの前。大勢のカップルや家族連れで賑わっている。

雅紀と手をつないだままツリーを見上げる。

「瀬名 これからもずっとずっと一緒にこうやって誕生日とクリスマスを祝おう。いつの日か子供ができたら家族で」

「まあちゃん…」

そういって雅紀の方を向くと、照れくさそうに微笑んだ。

そして私を抱きしめこう言った。

「絶対に結婚しようね」

ツリーの放つ暖かい光に守られながら、そんな約束をした。
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